📋 制度とお金 受給者証と療育手帳の違いとは?比較表でわかる役割・取得条件・優先順位
「療育を始めるには受給者証?療育手帳?どっちが先?」——児童発達支援の利用を考え始めた保護者がまずつまずくのが、この2つの違いです。結論から言うと、通所受給者証と療育手帳はまったく別の制度で、療育(児童発達支援)に通うために必要なのは受給者証のほうです。しかも受給者証は、診断や手帳がなくても取得できる場合があります。この記事では、両者の違いを比較表で整理し、取得の流れとよくある誤解を解説します。
受給者証と療育手帳の違いを一覧比較
まず全体像です。2つは発行元も目的も根拠もまったく異なります。
| 項目 | 通所受給者証 | 療育手帳 |
|---|---|---|
| 正式には | 障害児通所支援の支給決定を受けた証明(通所受給者証) | 知的障害のある人に交付される障害者手帳 |
| 発行元 | 市町村(障害福祉窓口) | 都道府県・政令指定都市(判定は児童相談所等) |
| 目的 | 児童発達支援・放課後等デイサービス等の通所サービスを利用するため | 知的障害があることを証明し、各種の援助措置を受けやすくするため |
| 取得条件 | 支援の必要性が認められること(診断・手帳が必須でない場合あり) | 児童相談所等で知的障害があると判定されること |
| 使えるサービスの例 | 児童発達支援、放課後等デイサービス等(原則1割負担・月額上限あり) | 障害福祉サービスの利用のほか、手当・割引・税の優遇等(内容は自治体等による) |
| 診断の要否 | 自治体によっては医師の意見書等で可 | 診断名ではなく知的機能等の判定による |
| 期限 | 定期的な更新が必要 | 再判定(更新)の仕組みあり |
💡 ポイント
受給者証は「通所サービスの利用券」、療育手帳は「障害者手帳の一種」。役割が違うので、両方持つ子もいれば、受給者証だけの子もいます。
通所受給者証とは?診断・手帳なしでも取れる場合がある
通所受給者証は、児童福祉法に基づく障害児通所支援(児童発達支援や放課後等デイサービスなど)を利用するために、市町村から支給決定を受けた証明書です。
ここで重要なのは、申請に診断書や障害者手帳が必須とは限らないことです。多くの自治体では、医師の意見書、保健センターや児童相談所での相談記録など、「支援の必要性」を示す書類があれば申請できる運用がとられています。発達障害のグレーゾーンで診断がついていない段階でも療育を始められる可能性があるのは、このためです。必要書類は市町村により異なるため、必ずお住まいの障害福祉窓口で確認してください。
利用料は原則1割負担で、世帯所得に応じた月額上限があります(2026年時点で住民税非課税世帯0円、一般世帯4,600円または37,200円)。さらに、満3歳になって初めての4月から小学校入学までの3年間は、児童発達支援等の利用者負担が無償化の対象とされています。
5歳児健診で発達を指摘されたケースでも、診断を待たずに受給者証の申請から動き始められる場合があります。
療育手帳とは?
療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害があると判定された人に交付される障害者手帳です。
厚生労働省によると、療育手帳制度は自治体ごとに判定基準等の運用方法を定めて実施されており、名称も「愛の手帳」(東京都)など地域によって異なります。手帳があると、特別児童扶養手当等の各種手当、税の優遇、公共交通機関や施設の割引などの援助措置を受けやすくなります(内容は自治体・事業者により異なります)。
一方で、知的障害を伴わない発達障害(自閉スペクトラム症やADHDなど)の場合、療育手帳の対象とならず、精神障害者保健福祉手帳が選択肢になることがあります。手帳取得のメリット・デメリットで迷っている方は、療育手帳のデメリットはある?もあわせてお読みください。
どちらを先に取るべき?
「療育に通いたい」が目的なら、先に動くべきは受給者証です。
🎫 まず受給者証
- 療育(児童発達支援・放課後等デイサービス)に通いたい場合
- 診断・手帳がなくても申請できる場合がある
- 申請から支給決定まで数週間〜2か月程度が目安(自治体により異なる)
📗 療育手帳の判定を検討
- 手当・割引・将来の福祉サービスも見据えたい場合
- 児童相談所等での知的障害の判定が必要
- 判定予約から交付まで時間がかかる地域もある
両方必要そうなら、並行して進めて問題ありません。受給者証の申請に手帳は必須ではないため、手帳の判定待ちで療育開始が遅れることはありません。
受給者証取得の流れ(5ステップ)
一般的な流れは次のとおりです(詳細は自治体により異なります)。

療育に通い始めた後の効果や関わり方については、児童発達支援で何が変わる?で詳しく解説しています。
よくある誤解
最後に、窓口で混乱しやすいポイントを整理します。
⚠️ いちばん多い誤解
受給者証を取っても「障害者と認定された」ことにはなりません。受給者証は通所サービスの支給決定の証明であり、障害者手帳とは別物です。逆に、療育手帳がなくても受給者証は取得できます。
- 「診断がないと療育に通えない」→ 必ずしもそうではない。自治体によっては意見書等で受給者証を取得できます
- 「受給者証は一度取れば永久に有効」→ 誤解。受給者証には有効期間があり、定期的な更新手続きが必要です
- 「手帳を取ると小学校で必ず特別支援学級になる」→ 誤解。就学先は手帳の有無だけで決まるものではなく、本人・保護者の意見を尊重した就学相談を通じて決まります
まとめ
- 通所受給者証は「療育などの通所サービスを使うための証明書」、療育手帳は「知的障害のある人の障害者手帳」でまったく別の制度
- 療育を始めたいなら先に動くのは受給者証。診断や手帳がなくても、意見書等で申請できる場合がある
- 利用料は原則1割負担・所得に応じた月額上限あり。満3歳からの3年間は無償化の対象(2026年時点)
- 療育手帳は児童相談所等の判定が必要で、手当・割引等の援助措置につながる。運用・名称は自治体により異なる
- 必要書類・手続き・期間はすべて自治体差が大きいため、最初の一歩は市町村の障害福祉窓口への相談から
よくある質問
受給者証をもらうと障害者手帳を持ったことになりますか?
なりません。通所受給者証は児童発達支援などの通所サービスを利用するための証明書で、障害者手帳(療育手帳・精神障害者保健福祉手帳など)とは別の制度です。受給者証だけを持ち、手帳は持っていないお子さんも多くいます。
診断がついていなくても受給者証は申請できますか?
自治体によっては、確定診断がなくても医師の意見書や保健センターでの相談記録など「支援の必要性」を示す書類があれば申請できる場合があります。必要書類は市町村ごとに異なるため、お住まいの障害福祉窓口で確認してください。
受給者証で療育を受けると利用料はいくらかかりますか?
原則1割負担で、世帯所得に応じた月額上限(2026年時点で一般世帯4,600円または37,200円、住民税非課税世帯は0円)が設定されています。また満3歳になって初めての4月から小学校入学までの3年間は無償化の対象とされています。
療育手帳は一度取ると外せませんか?
療育手帳には更新(再判定)の仕組みがあり、判定の結果によっては非該当となることもあります。また、手帳の返還を申し出ることも可能です。運用は自治体により異なるため、交付元の窓口に確認してください。