精神障害者保健福祉手帳の申請書類を封筒から取り出す手元 📋 制度とお金
制度とお金 公開: 2026年7月15日

精神障害者保健福祉手帳は子どもでも取れる?療育手帳との違いと申請の流れ

この記事の目次
  1. 精神障害者保健福祉手帳は子どもでも取得できる
  2. 療育手帳との違いと使い分け
  3. 等級と受けられる支援
  4. 申請の流れ(初診から6か月・診断書)
  5. デメリットが不安なとき、事実で答える
  6. まとめ

「精神障害者保健福祉手帳って、大人の手帳では?」。発達障害のあるお子さんが療育手帳の対象にならなかったとき、多くの保護者の方が最初に抱く疑問です。先に結論をお伝えすると、精神障害者保健福祉手帳に年齢制限はなく、発達障害の子どもも取得できます。この記事では、療育手帳との違いと使い分け、等級ごとの支援、初診から6か月という申請要件、そして不安に思われがちな点の実際を2026年時点の情報で整理します。

精神障害者保健福祉手帳は子どもでも取得できる

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患により長期にわたって日常生活や社会生活に制約がある人を対象とする手帳で、対象には発達障害が明記されており、年齢の下限はありません(こころの情報サイト)。

「精神障害」という名称から統合失調症やうつ病の手帳という印象を持たれがちですが、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)などの発達障害も交付対象です。知的障害の有無は要件ではないため、知的発達に遅れがなく療育手帳が非該当になった子どもの受け皿として機能しています。

💡 ポイント

要件の中心は「初診日から6か月以上経過していること」と「診断書で生活の制約が認められること」の2つです。診断名がついた直後にはまだ申請できない点だけ押さえておきましょう。

療育手帳との違いと使い分け

2つの手帳は対象とする障害が異なります。違いを表で整理します。

項目精神障害者保健福祉手帳療育手帳
対象精神疾患(発達障害を含む)知的障害
根拠精神保健福祉法(法律に基づく全国制度)国の通知に基づく自治体運用
判定方法医師の診断書による審査児童相談所等での面接・検査
等級1〜3級A・Bなど(自治体により区分が異なる)
有効期間2年(更新制)自治体ごとに再判定時期を設定
申請窓口市区町村の担当窓口市区町村経由で児童相談所等

使い分けの考え方はシンプルで、知的障害の判定に該当するなら療育手帳、知的な遅れがない発達障害なら精神障害者保健福祉手帳が基本線です。両方の基準に該当すれば併有もできます。制度の全体像は受給者証と療育手帳の違いも参考にしてください。

なお、児童発達支援や放課後等デイサービスに通うために必要なのは通所受給者証で、どちらの手帳とも別の制度です。手帳がなくても通所支援は利用できます。

等級と受けられる支援

等級は生活の制約の程度に応じて1級(最も重い)から3級まであり、診断書をもとに総合的に判定されます。子どもの場合に関わりが深い支援を中心にまとめます。

分類内容備考
税金所得税の障害者控除27万円(1級は特別障害者40万円)扶養する保護者の税負担が軽くなる。住民税にも同様の控除あり
公共料金等NHK受信料の減免、携帯電話料金の障害者割引条件は事業者・世帯状況により異なる
交通バス・タクシー・鉄道の割引対象範囲は地域・事業者により大きく異なる
レジャー博物館・動物園・映画館などの入場割引本人+介助者が対象の施設が多い
自治体独自医療費助成、福祉手当、タクシー券など内容は自治体によって大きく異なる
将来の選択肢障害者雇用枠での就労(手帳が必要)16歳以降・成人後の進路の幅が広がる

内容・条件は自治体と事業者により異なります。上の表は2026年時点の一般的な整理です。交付時に窓口で「手帳で使える支援の一覧」をもらうのが確実です。子どものうちは使う場面が限られるように見えますが、税の控除は毎年効いてくるほか、進学・就労の節目で選択肢を広げる資料になります。

手帳があってもなくても、親子の毎日は変わらない。制度は暮らしを支える道具として使えばよい

申請の流れ(初診から6か月・診断書)

申請の大まかな流れは全国共通です。

1
医療機関を受診・通院児童精神科や小児科(発達外来)など。初診日がスタート地点になります。
2
初診から6か月経過を待つ手帳用の診断書は初診日から6か月以上経過後に作成できます。
3
診断書を書いてもらう手帳用の所定様式で主治医に依頼します。文書料は医療機関により異なります。
4
市区町村の窓口に申請申請書・診断書・写真を提出。審査は都道府県等の精神保健福祉センターで行われます。
5
交付・2年ごとに更新交付まで1〜2か月程度かかることが多く、更新は期限の3か月前から申請できます。

⚠️ ここに注意

有効期間は2年で、更新のたびに診断書(または障害年金の証書写し等)が必要です。療育手帳より更新サイクルが短いこと、その分の通院と文書料がかかることは、事前に知っておきたい実務面のポイントです。

デメリットが不安なとき、事実で答える

取得をためらう理由の多くは、制度を確認すると心配しすぎだったと分かります。

  • 進学・受験で不利になる?: 手帳の所持が内申や合否判定に使われる制度はありません。情報が学校へ自動的に伝わる仕組みもなく、伝えるかどうかは家庭が決められます
  • 就職に響く?: 一般枠での就職活動で手帳の申告義務はありません。むしろ手帳があると障害者雇用枠という選択肢が加わります
  • 一度取ったら一生もの?: 有効期間は2年で、更新しなければ効力は終了します。返納も可能です。「やめられる制度」です
  • 戸籍や住民票に載る?: 載りません。手帳の情報が戸籍等に記載されることはありません

この心配の構図は療育手帳とほぼ共通です。詳しくは療育手帳のデメリットとは?で解説しています。迷う場合は、市区町村の障害福祉窓口や発達障害者支援センター(国立障害者リハビリテーションセンターのサイトから各地のセンターを探せます)に相談してみましょう。

まとめ

  • 精神障害者保健福祉手帳に年齢制限はなく、発達障害の子どもも取得できる
  • 知的な遅れがなく療育手帳が非該当だった子の受け皿になる手帳。両方の基準に該当すれば併有も可能
  • 等級は1〜3級で、税の障害者控除や各種割引などの支援がある(内容は自治体差あり)
  • 申請には初診から6か月以上の経過と所定の診断書が必要。有効期間は2年の更新制
  • 進学・就職で不利になる制度はなく、更新しない・返納する自由もある

よくある質問

精神障害者保健福祉手帳は何歳から取れますか?

年齢の下限はありません。精神疾患(発達障害を含む)による生活の制約が続いていて、初診から6か月以上経過していれば、未就学児や小学生でも申請できます。実際の判定は診断書の内容に基づいて行われます。

療育手帳と精神障害者保健福祉手帳は両方持てますか?

両方持てます。知的障害と発達障害の両方がある場合など、それぞれの判定基準に該当すれば併有が可能です。ただし受けられる支援が重複する部分も多いため、両方が必要かどうかは窓口で相談するとよいでしょう。

手帳の更新を忘れたらどうなりますか?

精神障害者保健福祉手帳の有効期間は2年で、期限が切れるとそのままでは支援を受けられなくなります。更新の申請は有効期限の3か月前から可能です。期限が切れても再申請はできるので、気づいた時点で窓口に相談してください。

子どもの手帳取得を学校に伝える義務はありますか?

ありません。手帳の情報が自治体から学校へ自動的に共有される仕組みはなく、伝えるかどうかは保護者と本人が決められます。合理的配慮を求める際の資料として自分から提示する、という使い方も選べます。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。