並木のアプローチの先に建つ校舎の外観。春から通うことになる小学校を思い浮かべる場面のイメージ 🏫 園・学校生活
園・学校生活 公開: 2026年8月7日

発達障害の子の小学校入学準備|支援級も通常級も、11月〜3月にやること

この記事の目次
  1. 就学先が決まってから入学までに何がある?
  2. 一般的な準備リストに載っていない3つの準備
  3. 学校に伝えることを、文字にして準備する
  4. 生活面の練習は、全部やらなくていい
  5. 物の準備で、感覚が気になる子がつまずくところ
  6. 不安が強い子に、4月の見通しをどう持たせるか
  7. まとめ

就学先がようやく決まって、ひとまず肩の荷が下りた。けれど園の送り迎えで聞こえてくるのは「ランドセルもう買った?」「体操着って何枚いるんだっけ」という話ばかり。検索して出てきた入学準備リストを開いても、並んでいるのは鉛筆の本数と防犯ブザーで、うちの子が本当につまずきそうなことは、どこにも書いていない——。

先に結論をお伝えします。支援が必要な子の入学準備には、物をそろえる作業とは別に学校に伝える・生活面の練習・見通しを持たせるの3つがあります。そしてそのどれも、4月1日に完成している必要はありません。この記事では、11月から3月に何が起きるのかを時間軸で押さえたうえで、一般的な準備リストに載っていないこの3つを順に見ていきます。

就学先が決まってから入学までに何がある?

動き出すのは秋です。文部科学省は、市町村の教育委員会が11月30日までに就学時の健康診断を実施すると示しています。そして入学期日と就学すべき学校の通知は、1月31日まで。通知が届いてから入学式までは、およそ2か月しかありません。

時期学校や自治体から来ること家庭でやること
10〜11月就学時健診(11月30日までに実施)気になっていることを健診の場で伝える
11〜12月就学相談の結果について教育委員会とやりとり就学支援シートの様式を受け取り、書き始める
1月末まで入学期日と入学する学校の通知が届く学童保育の申し込み(自治体により締切が早い)
1月下旬〜2月入学説明会・一日入学。学用品の販売がある学校も学用品リストを受け取る。指定品を購入する
2〜3月学校との個別面談、園からの引き継ぎシートを提出し、配慮のお願いを2〜3点伝える
3月学級編成の検討が進む(担任や学級が分かるのは入学式前後)名前つけ、通学路を歩く練習

呼び名も日程も自治体でかなり違います。札幌市は一日入学と保護者説明会を例年1月下旬から2月下旬にかけて実施すると案内しています。三郷市は入学説明会を1月22日から2月12日の間に各校で設定したうえで、当日は学用品の販売があるので必ず現金を持参してほしいと書いています。同じ「2月の説明会」でも、資料をもらうだけの学校と、その場で買い物をする学校があるということです。

⚠️ 日程は自分の自治体と学校で確認を

ここに挙げた時期は2026年時点の例です。就学時健診・入学説明会・一日入学は、呼び名も日程も自治体ごとに違い、案内は入学予定の小学校や教育委員会から届きます。届いた紙をクリアファイル1枚にまとめておくと、あとで探し回らずに済みます。

就学時健診そのものの流れは就学時健診の当日の流れにまとめています。この記事を読んでいる時点でまだ就学先を迷っている場合は、支援級か通常級かの判断を先に読んでください。

一般的な準備リストに載っていない3つの準備

どの家庭もやる準備と、支援が必要な子にもう1段だけ必要になる準備を並べてみます。

📋 どの家庭もやる準備

  • ランドセルと学用品をそろえる
  • 持ち物すべてに名前をつける
  • 通学路を歩いてみる
  • 早寝早起きの生活に戻す

🧩 ここから先が、うちの子には要る

  • 配慮してほしいことを文字にして学校へ渡す
  • 生活面の練習に優先順位をつけて絞る
  • 物を見た目や値段ではなく感覚で選び直す
  • 4月からの生活を目に見える形にしておく

右側の3つ(伝える・練習する・見通しを持たせる)は、買い物と違って一日では終わりません。物の準備は入学説明会のあとからで間に合いますが、こちらは11月ごろから少しずつ手をつけておくと、2月3月に慌てずに済みます。

学校に伝えることを、文字にして準備する

入学前にやっておくと後がいちばん楽になるのが、これです。担任が子どもの特性に気づいて合う対応を見つけるまでの試行錯誤を、そのぶん短くできます。

渡すものは大きく2つです。ひとつは自治体が用意している就学支援シート。もうひとつは家庭で作るサポートブックです。就学支援シートは、園や療育での様子と効いた支援を小学校へ引き継ぐための書類で、年長の秋から冬にかけて配られる自治体が多くあります。項目別の書き方は就学支援シートの書き方にまとめました。様式が配られない自治体なら、A4で1〜2枚のサポートブックを自作して面談で渡す形になります。

伝えるときのコツは、要望を並べないことです。入学前の面談は10分から15分ということもあります。次の3点セットで、いちばん困る場面から2〜3個だけ書きます。

  • どの場面で困るか(朝の会の前のざわざわ、着替え、給食、体育館)
  • そのとき何が起きるか(固まる、泣く、教室を出てしまう)
  • 園で効いた手立て(5分前に予告する、別室で着替える、量を減らす)

文部科学省は、就学先を決めるときは本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則としています。決まったあとの配慮の相談も、その延長にあります。お願いすることは、わがままではありません。

なお支援級や通級を利用する子については、入学後に個別の教育支援計画と個別の指導計画が作られます。入学前に渡した紙は、そのまま土台になります。

玄関マットに並ぶ大人の靴と子どもの小さなスニーカー。朝、家を出るまでの流れを練習する場面のイメージ

生活面の練習は、全部やらなくていい

トイレも着替えも給食も登下校も、4月までに全部できるようにしなければ——と思うと、残り数か月では足りません。分け方はひとつです。学校に伝えれば手が入るものと、家庭でしか練習できないものを分ける。前者は練習より相談を優先します。

練習すること家でどこまでできれば十分か学校に相談できること
登下校通学路を親と3〜4回歩き、危ない場所を子どもが自分の口で言える集団登校の有無、入学直後の付き添い
トイレ洋式の個室に一人で入って出られる。行きたいと言える、またはカードで示せる休み時間の声かけ、場所の事前確認
着替え体操着の上下を、時間はかかっても一人で着られる着替える場所と時間、周りとずらす配慮
給食食べられるものが1つ以上ある。減らしてほしいと言える量の調整、食べられないものの申し出
朝の支度起きてから家を出るまでの流れが目に見える形になっている(家庭で完結する範囲)

この中で家庭にしかできないのは、登下校と朝の支度です。残りの3つは、伝えれば学校側で動かせる部分があります。時間が足りないときは、迷わず登下校と朝の支度を先にしてください。

朝の流れが毎日崩れる場合は朝の支度が進まないときの工夫を、給食が最大の不安なら給食の配慮のお願いの伝え方を、それぞれ先に読むと具体的に動けます。

物の準備で、感覚が気になる子がつまずくところ

学用品は、値段でも見た目でもなく重さ・肌に当たる感触・音で選び直します。1年間ほぼ毎日使うものなので、ここが合わないと登校そのものが重くなります。

つまずきやすいところ選ぶときに見る観点
ランドセル教科書を入れると重い。肩ベルトが硬い。留め具の金属音空の重さではなく中身を入れた重さ。肩ベルトの当たり方。留め具を片手で開けられるか
上履き甲のゴムの締めつけ。中敷きの縫い目。かかとの硬さサイズだけでなく甲の高さ。学校指定でなければ形を選べることがある
体操着・給食着首まわりのタグ。ゴムの締めつけ。生地の質感タグを切り取れる作りか。前開きかかぶりか。素材表示を見る
名前つけ数が多い。アイロンの熱で縮む。肌に当たる位置にくる布は縫いつけよりアイロンやスタンプ。肌に触れない位置に入れる
文房具鉛筆の硬さ。筆箱を開け閉めする音。のりや粘土の感触学校指定を先に確認。指定がなければ音の小さいもの、触りたくない素材を避ける

試着は店頭で1分では判断できません。ランドセルなら家に届いてから、教科書と同じくらいの重さのものを入れて5分背負ってみる。上履きは指定サイズを買う前に、同じ形のものを室内で履かせてみる。そこで出た反応のほうが、店で見た顔よりあてになります。

ランドセルを背負うこと自体を嫌がる場合は、慣らそうとするより別の道を探すほうが早いことがあります。教科書を学校に置く相談も含めてランドセルを嫌がるときの選択肢にまとめました。タグや縫い目がつらいタイプなら、服のタグと感覚過敏の対処がそのまま体操着にも使えます。

引き出しに畳んで収納された子ども服。名前つけと着替えの準備を進める場面のイメージ

買う時期にも順番があります。学用品リストは入学説明会で配られる学校が多いので、指定品は説明会を待ってから。それより前に買えるのは、ランドセルなど通学に使うものと、名前つけの道具くらいです。

費用の面では、市町村の就学援助という仕組みがあります。文部科学省は、学用品費や新入学児童生徒学用品費などを援助の費目として挙げています。そのうえで、認定基準も費目も市町村ごとに違うため、住んでいる市町村に問い合わせてほしいと案内しています。入学前に受け取れるかどうかも含めて、教育委員会に一度聞いてみてください。

不安が強い子に、4月の見通しをどう持たせるか

「4月から小学生だよ」という言葉は、子どもには時間としてほとんど届きません。届くのは、目に見える形にしたときです。

  • カレンダーに入学式の日を貼り、あと何回寝たら、を毎朝ひとつ塗る
  • 一日入学や入学説明会を下見に使い、下駄箱・トイレ・保健室・教室を親子で歩く
  • 通学路は、朝の登校と同じ時間帯に歩く(信号の変わり方も車の量も昼とは違う)
  • 朝起きてから帰ってくるまでの1日を、写真か絵で1枚にまとめる
  • 困ったときに言う相手を1人決めておく(担任、保健室の先生など)

音が苦手な子には、チャイム、体育館の反響、朝の教室のざわざわが最初の関門になります。何がつらいのかを事前に学校へ伝えておくと、席の位置や避難できる場所の相談ができます。準備の仕方は聴覚過敏の子の音への対処を参考にしてください。

💡 4月1日に完成している必要はありません

入学準備がすべて整った状態で1年生になる子はいません。名前つけが間に合わなくても、着替えに時間がかかっても、学校は4月から一緒に考えていく場所です。いま手元にあるものだけで、4月は始められます。

まとめ

  • 就学時健診は11月30日までに、入学期日と学校の通知は1月31日までに行われる。入学説明会や一日入学は1月下旬から2月にかけての学校が多い
  • 支援が必要な子の入学準備には、物の準備のほかに「学校に伝える」「生活面の練習」「見通しを持たせる」の3つがある
  • 伝えることは2〜3点に絞り、就学支援シートやサポートブックで文字にして渡す。場面・起きること・効いた手立ての3点セットで書く
  • 生活面は全部やらない。家庭にしかできない登下校と朝の支度を優先し、給食や着替えは学校に配慮を相談する
  • 物は重さ・肌に当たる感触・音で選び直す。学校指定品があるので、買うのは入学説明会のあとから

今夜はここまでで大丈夫です。明日、気持ちに余裕があるときにやることは1つだけ。就学時健診の案内、就学通知書、説明会のお知らせなど、学校や教育委員会から届いた紙をクリアファイル1枚にまとめてください。入学準備は、そこから始められます。

よくある質問

小学校の入学準備は、いつから始めればいいですか?

物をそろえるのは1月下旬から2月の入学説明会のあとで間に合います。学校指定の学用品があるため、先に買うと買い直しになることがあるためです。一方で、学校に伝える内容の整理や生活面の練習は、就学先が決まる前の11月ごろから少しずつ始めておくと余裕が生まれます。

支援級に決まった場合、持ち物は通常級と違いますか?

基本の学用品は通常級とほぼ同じで、学校や学級ごとに追加の持ち物が案内される形が一般的です。支援級は在籍する子どもの人数が少なく、活動の内容も学級ごとに違うため、持ち物の案内も学級単位で出ることがあります。入学説明会のあと、担任予定の先生か特別支援教育コーディネーターに直接確認するのが確実です。

一日入学に子どもが行けそうにありません。参加しないとだめですか?

参加は必須ではなく、欠席しても入学に影響はありません。ただし当日に学用品の販売や大事な説明がある学校が多いので、欠席するときは学校へ連絡し、資料の受け取り方法を確認してください。人の多い場所が苦手な場合は、別日に校内を見せてもらえないか相談すると応じてもらえることがあります。

ランドセルではなく、軽いリュックで通学してもいいですか?

法令でランドセルが義務づけられているわけではなく、通学かばんの指定があるかどうかは学校によって違います。指定がない学校なら、体格や感覚の特性に合わせて軽いかばんを選ぶことも可能です。入学説明会の場か、入学予定の学校に直接、通学かばんの決まりがあるかを確認してください。

配慮のお願いは、入学前と入学後のどちらで伝えるのがいいですか?

両方です。入学前は就学支援シートやサポートブックなど文字にしたものを渡し、2月から3月の面談で口頭でも補足しておくと、担任が決まったときに引き継がれやすくなります。そのうえで、入学後に実際の困りごとが見えてから、あらためて担任と具体的な方法をすり合わせる流れが現実的です。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。